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豊洲で猛毒が検出!築地市場の移転白紙の可能性も
前回の記事で築地初競りは「今年の築地初競りは正真正銘の築地ラスト」とお伝えしたばかりではあるが、もしかすると2018年も築地で初競りが開催される可能性が出てきた。1月14日に発表された第9回地下水モニタリング調査の最終結果で、豊洲市場から猛毒のシアンが検出されたのだ。スポーツ報知が詳しくレポートしている。
東京・築地市場の移転先となる豊洲市場の第9回地下水モニタリング調査の最終結果が14日、発表され、検出されないことが環境基準の猛毒の有害物質「シアン」が初めて検出された。環境基準の79倍のベンゼン、同3・8倍のヒ素も検出され、豊洲移転は、危機的状況に陥った。土壌汚染対策を検討する「専門家会議」は今回の数値を暫定扱いとし、3月までに再調査すると明言したが、次回も同様の結果が出た場合、豊洲移転は白紙となる可能性もある。検査は、市場の敷地内201か所で地下水1リットルあたりの濃度を観測。この日発表された数値では、前回までの計8回で一度も検出されなかったシアンが、39か所で最大1・2ミリグラムが検出された。ベンゼンは基準値以上を35か所で、ヒ素は20か所で検出された。
引用元 スポーツ報知:http://www.hochi.co.jp/topics/20170115-OHT1T50041.html
写真はスポーツ報知ホームページより
上記の発表を経て小池百合子東京都知事は、「(食品が流通する)地上と(有害物質を検出した)地下を分けたとしても、食品を扱うのに変わりはない。重く受け止めている」とコメント。2017年末に予定している豊洲移転は、6月の環境アセスメントの結果次第では、来年春以降に延期される可能性も出てきたそうだ。
検出されたシアン、ベンゼン、ヒ素は、一体どんな物質か?
今回の発表により、環境基準では検出されないことが条件となっている、猛毒のシアンが検出されたことが分かった。このほか、基準値の79倍のベンゼンと3.8倍のヒ素も検出されており、生鮮食品を扱う中央卸市場の移転先として、根本から疑問視する見方も出ている。そこでこれらの物質が、実際どのようなものかを調べてみた。※用語解説は日本大百科全書(ニッポニカ)より
シアン
炭素と窒素の化合物。シアノーゲン、ジシアン、オキサルニトリルなどともいう。触媒の存在下で、シアン化水素を空気または塩素、二酸化窒素で直接酸化して得られる。(中略)シアン化水素と同じく猛毒で、蒸気の最大許容量は10ppmという。
・事件:グリコ・森永事件(1984年)で青酸カリ(シアン化合物)をチョコレートに混入
ベンゼン
特有のにおいをもつ無色透明で可燃性の液体で、煤の多い黒い煙をあげて燃える。その蒸気は有毒である。水には難溶だが、エタノール(エチルアルコール)やエーテルとは任意の割合で混じり合う。大気中のベンゼンは有害大気汚染物質と定められていて、長期間吸収すると造血器の障害をおこし、貧血などの原因になる。白血病などの癌(がん)性疾患を引き起こすともいわれている。
・事故:・カネミ油症事件(1968年)はベンゼン環が2つ結合した塩素を含む有機化合物である、ポリ塩化ビフェニルの中毒が原因。四大公害病の1つとされる。
ヒ素
単体ヒ素には毒性がない(あるいは弱い)と考えられているが、ヒ素の化合物は有毒で農薬用に使われるが、生物への蓄積を恐れて他のものに置き換えられつつある。三酸化二ヒ素はガラスの透明度をあげたり脱色したりする目的で少量添加される。ヒ素化合物には強い毒性をもつものが多い。
・事件:・和歌山毒物カレー事件(1998年)で、犯人がカレーに混入し4人が死亡。
専門用語ばかりだと分かりにくいが、これらの物質が引き起こした歴史的な公害病や事件を見てみると、人体にどんな影響があるかが想像できるだろう。日本を代表する中央卸売市場の移転先に、そのような有害物質が基準値の何倍もの数値で検出されたことは重大で、移転撤回の可能性も十分に考えられるだろう。2018年1月の初競りは、また築地市場で開催されるかも知れない。
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