目次
写真は完成した豊洲市場の全景(東京都中央卸売市場ホームページより)
小池百合子都知事が、築地移転延期を発表
いよいよ2ヵ月後に迫った築地市場の豊洲への移転が、小池百合子新都知事により延期となった。都知事はいつまで延期するかの言及を避けたが、移転先の豊洲市場予定地の土壌汚染が解決するまでは、移転は持ち越されるようだ。毎日新聞によると、この延期により様々な問題が生まれると言う。
11月7日の予定だった築地市場の豊洲市場移転について31日、東京都の小池百合子知事が正式に延期を表明した。ただ、豊洲市場の建物は完成していて維持費がかかる上、業者も既に数百億円以上を投資しており、補償が必要となる可能性もある。築地市場跡地の道路計画も進まず、都の予算や2020年東京五輪・パラリンピックに与える影響は大きい。東京ガス工場跡地の豊洲市場予定地の地下水や土壌からは、環境基準値を大きく超える高濃度のベンゼンなどの有害物質が相次いで検出された。都は約858億円をかけ土壌汚染対策工事を施した。 都は地下水モニタリング調査を14年11月18日から7回実施し、いずれも基準値を上回るベンゼンは検出されていない。今後は9月に8回目、11月18〜29日に最後の9回目が予定され、9回目の調査結果は17年1月に出る。
小池知事は記者会見で「都民ファーストを大切にしなければならない。(モニタリングの)結果を見届けることは安全性の確認、説得力において譲れない」と強調した。小池知事が設けるとした市場問題プロジェクトチーム(PT)は、都顧問の小島敏郎・青山学院大教授を座長に、土壌や建築、公営企業などの専門家6、7人を選任する。
引用元 毎日新聞:http://news.mynavi.jp/articles/2016/07/29/yamato/
豊洲移転から始まる東京オリンピック
築地市場の移転延期による最大の懸念は、何よりもコスト増と言われている。当初は約4316億円だった総事業費が、今では約5884億円にまで増大している。ここに、既に完成してしまっている豊洲市場の1日の光熱費約700万円が積み重なってくるのだ。これ以外にも、11月の稼動を見越して稼動している大型冷蔵庫のコストなどもある。このすべてが都民の税金から捻出されるのだ。
もう1つの懸念材料は、東京オリンピックのための道路整備だ。現在の築地市場が解体された後には、新橋と有明を結ぶ環状2号線が建設される予定なのだ。(写真参照)有明には有明体操競技場が、新橋との中間地点には選手村が建設される。今回の移転延期により、築地市場の解体が遅れると、この幹線道路の建設にも支障が出てしまい、2020年のオリンピック開幕までの完成も危ぶまれるほどだ。都政の今後の動向から、目が離せない。
関連記事:消えゆく築地の1年を記録した映画「築地ワンダーランド」(5/9)
テキスト: FUJI-KIZAI(不二機材)