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イギリスで900億円のマグロフィーバー
日本人が大好きな海産物の一つは、何と言ってもマグロだろう。特にクロマグロは「海のダイヤ」とも称され、世界中で高値で取り引きされている。ここでも紹介した、築地の初競りでのクロマグロの過去最高額は、2013年の1匹1億5540万円!すしチェーン「すしざんまい」を経営する喜与村が競り落としたことで知られる。この高級ブランド魚のクロマグロが、500匹の大群でイギリスの沖合に現れたと、イギリスで大変な騒ぎになっている。
イギリス南西部のコーンウォールの沖合に、普段は見られないクロマグロの大群が出現し話題になっている。英紙は、マグロの日本での取引価格は1匹あたり100万ポンド(約1億8000万円)で、獲れば大儲けできるとセンセーショナルに報じているが、ある理由から地元漁民はマグロの出現を歓迎できないでいる。英テレグラフ紙によれば、クロマグロの大群を発見したのはコーンウォールで観光クルーズ会社を経営する夫婦。二人は、海はまるで「破裂」するかのように500匹ほどのマグロで埋め尽くされていた、と話す。地元紙、ウェスタン・モーニング・ニュースは、このクロマグロの群れの価値を金額にして2億5000万ポンド(465億円)と試算。英デイリー・メール紙にいたっては、5億ポンド(930億円)と報じている。
引用元 NewsPhere:http://newsphere.jp/world-report/20150830-1/
このマグロの大群出現をイギリスのマスコミは「5億ポンド=930億円」の価値があると過熱報道したものの、実はイギリス国内ではマグロ漁は禁止されているそうだ。ヨーロッパでマグロ漁を許可されているのは、スペインやギリシャなど地中海沿岸の7カ国にとどまると言う。
3000年の歴史を持つ、スペインの伝統的なマグロ漁
今回のニュースで筆者は、イギリスがマグロ漁を禁止していることを初めて認識したが、もっと驚いたのは、スペインが3000年前からマグロ漁を行っていたという事実だ。NewShereの関連記事によると、スペインでは「アルマドラバ(Almadraba)」と呼ばれる世界最古の漁法で、紀元前からマグロを漁獲していたのだそうだ。
記録的な豊漁に沸く一方、スペインで伝統的な漁法が消滅の危機にあるとNYTが報じている。フェニキア人が3000年前に始め、現在も基本的な姿はほとんど変わっていないというその漁法は、スペイン語で『アルマドラバ(Almadraba)』と呼ばれる。海中に迷路のように網を張り巡らせてマグロを一ヶ所に追い込み、一気に引き上げる漁法で、何ヶ月もかけて入念に作り上げられる“迷路”のできが最も重要だという。目の広い網を使うため、大きなマグロだけをとる環境にやさしい漁法だとも言われている。
引用元 NewsPhere:http://newsphere.jp/world-report/20150615-1/
もともと地中海は世界でも有数のマグロの産地だそうで、スペインでは古くからマグロを好んで食べている。南部にはBarbade(バルバデ)やTarifa(タリファ)などマグロ漁で有名な町があり、美味しいマグロ料理が食べられるとか。しかし現実では、スペインで漁獲されたマグロの大半が世界最大の消費国、日本に輸出されているのだ。さらにスペインでは脂肪=トロの多いマグロを好む日本向けに、漁獲した天然マグロを一定期間、生簀で養殖して太らせる「養畜」スタイルが主流になっており、伝統的な漁法アルマドラバは消滅の危機にあるそうだ。過熱する日本向け輸出で、3000年の伝統漁法が消えてしまうのは、何とももったいないことだ。
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