近畿大学が近大マグロ完全養殖達成への道のりを公開
世界初となるクロマグロの完全養殖に近畿大学が成功したのが2002年。この成功は、乱獲により絶滅危惧種に指定される天然クロマグロの保全に向けて、大きな第一歩となった。その成功から13年、養殖ものの近大マグロも、今では最大403kgと天然ものにも劣らないサイズに成長するまでになっている。
近畿大学ホームページではこの度、近大マグロの完全養殖実現までの秘話を公開講座として配信し、注目を集めている。
近畿大学が2002年に世界で初めて成功したクロマグロの完全養殖。完全養殖とは、人工孵化した稚魚から親魚まで育て、その親魚から採卵し人工孵化させて次の世代を生み出す養殖技術のことです。これにより、天然マグロを消費せず、水産資源の枯渇問題に大きく貢献できるようになりました。1970年に研究を始めてから32年の歳月をかけて成功するまでの過程や和歌山県大島で実際に行われている完全養殖の模様を映像を交えて紹介します。
引用元 近畿大学公開講座:
http://kouza.kindai.ac.jp
近大マグロの面白いところは単なる完全養殖だけにとどまらず、飼育したクロマグロを市場で提供するルートを確保している点にある。2014年12月にエースコックから発売した近大マグロ使用 中骨だしの塩ラーメンは近大マグロの中骨を使用した初の商品化となり話題となった。また、東京・銀座と大阪・梅田に、近大マグロが食べられる、近畿大学水産研究所というレストランを出店。ここで経済学部の学生が経営を実践し、農学部の学生がレシピを考案するなど、学生の実学の場としても機能している。近畿大学水産養殖種苗センター特命教授の岡田貴彦さんは今後、コストを抑えた完全養殖を目指すと同時に、ニューヨーク出店までをも視野に入れていると言う。さらに、絶滅危惧種とされるニホンウナギの完全養殖プロジェクトチームも、すでに発足させている。近大マグロという新たなブランドを生んだ近畿大学の躍進に、今後も注目したい。
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