漁業資源を管理する方法は国よって異なるが、漁業先進国を中心に広がる「個別漁獲枠方式」を導入した成功事例がチリにあった。

WEDGE Infinityによると、ペルーのアンチョベータ(ペルー産のアンチョビとも言われる)漁業は、2009年から個別漁獲枠方式を導入したことで、低迷から立ち直ってるという。

ペルーは、もともと、資源を保護するため、このアンチョベータに漁獲可能量の上限設定(TAC)を導入した。しかし、これがオリンピック方式(早いもの勝ちの競争漁獲)を前提としていたため、限られた資源を漁業者たちが一斉に奪い合う状態となり、船の性能を上げるための過度な投資競争、短い期間で漁を終わらせるため漁の短期化など、様々な問題が生じた。

そこで導入されたのが、各漁船にあらかじめTACを配分する個別漁船漁獲枠方式(IVQ。IQ方式の一種)だ。各漁船の漁獲量は限られるが確実に保証される。魚をめぐって争う必要はなくなり、過剰投資の抑制も期待できる方法だ。

引用元 WEDGE Infinity:https://wedge.ismedia.jp/articles/-/4304

この導入により、各漁船は、従来のような無駄な競争に時間とコストを使わず、効率を重視した漁業にシフトできるようになったという。個別漁獲枠方式の導入には、反対意見もあったが、最終的には、資源保護を実現しただけでなく、漁業の衰退も防ぐことができた。と記事は伝えている。

日本でも魚の資源減少が大きな問題となっている。原因として、TACの対象魚の数が少ない、TACの設定値が高過ぎる、などの課題も挙げられている。解決方法として、個別漁獲枠方式の導入が何年も前から検討にあがっているが、依然として反対意見も多いとのこと。ノルウェーやニュージーランドのように、日本も漁業先進国として、限りある資源の保護と漁業発展の両立を実現してもらいたい。